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誰も言わない失敗の理由

日本企業が海外進出で繰り返してきた失敗という記事がJB Expressで掲載されました。(こちらをクリック)記事はマクロの視点からその原因を大雑把に述べていますが、私は現場から見たミクロな視点で、日本企業が海外進出で失敗する理由について述べてみたいと思います。

1)責任範囲と業務範囲が一致しない

日本で生まれて育った日本人には、なぜ「出来ない」のかがなかなかわからないと思いますが、日本式の組織や責任分担で編成された現地企業は、日本人による継続的な指導がなければ正常なオペレーションを続ける事ができません。これは現地で働く人が持つ文化的背景が日本と異なる事が理由です。日本では、個々の労働者がその責任範囲をあまり明確にしません。そのおかげで、本来は他部署・他人の責任範囲である仕事を「自分の事」として受け入れて、その人なりの責任を持って作業する事ができます。みなが責任を分担して結果も共有しようという訳です。製造ラインの人が倉庫の中から自分で部材をピックアップしたり、営業の人が客先からの支払結果を売掛金管理画面に入力したり、という事がわりと一般的に行われています。

この2つの例で誰に責任がある(誰が行うべき)かを厳密すると、倉庫の在庫に責任を負うのは(普通は)生産管理課です。システム上の売掛金データに責任を負うのは会計課です。ゆえに、責任と作業を一致させようとすれば、材料の払出は倉庫担当者が行うべきだし、売掛金のシステム入力は会計課が行うべきです。日本の外では、業務範囲と責任範囲を一致させないと、物事はなかなかうまく流れて行きません。自分の責任範囲でない仕事は、一般的には「そもそも自分の仕事ではない」という認識となるからです。これを「教育」でなんとかしようとしても、多くの労働者が1−3年以内に転職していなくなり、新入社員の継続的な教育が必要になりますし、労働者が「教育」を受け入れるかどうかもわかりません。これは非常に非効率です。組織を編成するときには、業務範囲と責任範囲を一致させるべきです。

2)会議が多すぎる

客先(日系企業)へ行くと、現地スタッフから良く聞く言葉です。サラリーマン社長の現地法人の多くは、会社運営に民主主義を持ち込んでいます。何かを決める時に、利害が重なる部署の責任者を会議室に集めて皆で討議させ、皆の合意で決めようとします。現地社長の利益はこの会社全体の利益の最大化です。しかし、各部署の責任者の利害は、自分の部署の利益の最大化です。故に、多くの会議では部署間の「利害調整」に時間を要し、最後は全部の部署の「害」が最小化される方向で結論が誘導されがちです。これでは会社の利益を最大化する事はできません。ではどうすれば良いかというと、各部署からの意見を聞いた後で、会社にとって利益が最大化する案を、現地社長(あるいは実務方のトップ)が自分の責任で迅速に選択するべきです。現地責任者は良き独裁者であるべきです。

上記はあくまで私個人の意見ですが、御社の状況は如何でしょうか。

以上

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