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ERPシステム(1)日本式経営との適合性

今回から数回にわたり、ERPシステムについて述べたいと思います。世の中には「なんとかERP」システムと名のついた業務システムが溢れています。私の会社で作っている生産管理ソフトも、営業上の理由でしかたなく「弊社のERPシステム」と呼ぶ事もありますが、現実はERPシステムではありません。SAPやORACLEなどの大企業でないと、いろんな分析機能を持ったまともなERPシステムを作る事はほぼ不可能かと思います。今日の記事では、名前だけのERPシステムは無視して、SAPやORACLEのようなまともなERPシステムについて考えて見ます。

ERPシステムという名前はお聞きになった事があると思います。これはEnterprise Resource Planningの頭文字をとった略語で、企業資源計画と訳されているようです。そもそもERPシステムは、欧米でCEOのような大きな権限を持つ経営者が、統括する企業全体が現時点で持っている資源(受注・発注・在庫・生産計画・製造状況・財務・その他)をリアルタイムかつ正確に把握する事で、迅速かつ精密な経営判断を行う為に生まれたのだと思います。

その為に、末端で伝票を入力する現場では、いままで3分で作成・印刷できていた伝票処理に10分を必要とするようになりました。いままでバックオフィスの支援スタッフにさせていシステムへの入力処理を、担当者自身が行わなければならなくなりました。伝票の印刷に必要な情報だけでなく、あとからの経営分析に必要ないろんな付帯情報の入力が必要なのですが、そういう情報は担当者自身にしかわからない事が多い為です。

そんな訳で、経営判断の速度と精度を最優先する為に、思い切りよく現場の生産性を犠牲(トレードオフ)したのがERPシステムですから、はっきり言って、日本式経営(経営の権限と責任が特定の個人に集中せず、集団の合意で判断する)には、ERPシステムは向きません。経営会議に参加するメンバーは、自分でERPシステムを使わないし、エクセルやパワポの会議資料は部下の中間管理職に作成させさせます。これでは、ERPシステム導入前に使っていた昔のシステムと較べて、何の生産性が上がったのか意味がわかりません。何千万円も何億円も投入した意味もわかりませんね。

そういう訳なので、わたし個人としては、ERPシステムを日本の企業へ導入する事は(同族系企業で社長に権限が集中している場合を除き)お勧めしません。

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