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中国ビジネス相談室(6)脱サラして飲食業に挑戦

【相談者】東莞のある工業団地内の工場で総経理をしています。来年は定年退職となり、日本へ帰国するのですが、そのまま中国に滞在する事ができないかと考えています。鎮の繁華街には、日本食レストランが何軒かあり、それなり繁盛しているようなので、私も退職後は日本食レストランでもやってみようかと思っています。飲食業の事業計画や中国でお店を開く事に対する問題点について教えてください。

【回答】 日本人駐在員が自分の名義でお店の営業許可証を取得する事は困難かと思います。そこで地元の中国人の名義を借りるか、パートナーになってもらう必要があります。これは、儲かれば利益の分配で揉め、損すれば損金の補填で揉める事になる可能性があります。これは、日本食レストランのような商売だけでなく、合弁企業全般にいえるリスクです。

パートナーを探し、お店の物件を探し、営業許可証など政府関係の申請を終えた後に、一番大きなな問題に直面します。小さな日本食レストランくらい何とかなるかと考えているかもしれませんが、飲食業というのは誰でも参入できて競争の厳しい業界です。日本食レストランをある程度の長い期間(少なくとも3年前後)維持する為に、下記の条件のうち、最低1つをクリアしている必要があると考えます。

1)料理が上手
あなた自身にセミプロ級の料理の腕があれば、競合するお店より美味しい料理を提供できるので競争力が高くなるだけでなく、料理長の人件費を変動費化する(儲かるるまで給料をとらない)事ができるので固定客が付くまでの経営を容易にします。

2)渉外力が有る
地元の日本人社会で人望があり、友人が多ければ、あなたがフロア・マネジャーをする事で、日本人のお客をたくさん引っ張って来る事ができます。 料理人やかわいい服務員を他店から引っ張って来る事もできます。あとはそこそこの味の料理を、そこその値段で提供している限り、閑古鳥が鳴く事はないでしょう。

3)たくさんお金がある
料理人の腕も渉外力も無くても、投資するお金が十分にあれば、問題の解決はかなり容易になります。腕の良い料理人やかわいい服務員は、他店から高給で引き抜きできます。他店に負けない立派な内装のお店にすれば、地元の日本人は来てくれるでしょう。 但し、大きな投資に見合うような高い値段に設定すると、駐在員は接待の時しか来てくれなくなる可能性があります。それだけで損益分岐点を超えられるかどうか、事前の市場調査は重要です。

飲食業をやるのであれば、客単価と市場調査は特に重要です。あなたの優先順位は「事業で成功する」ではなくて「中国生活を楽しむ」という事かと思います。であれば、あなたの事業計画の中で立地という条件はほぼ固定されている(いま住んでいる鎮)と思われます。あなたの鎮にいる日本人駐在員が、毎日の外食で幾らまでお金を支払えるかを把握する事が重要です。また、何社の日系企業が、どれくらいの頻度でお客や出張者を「接待」しているかも重要です。それを良く調べた上で、幾らにするかを決めます。東莞の鎮は、小規模な飲食業向けの家賃は安いので、損益分岐点に大きな影響があるのは料理人と服務員の人件費、食材の調達コスト、それにお店の席数とお客の回転数と考えられます。この辺のところを押さえながら、メニューの値段と食材の原価、それに人件費を算出して、その範囲内に収まるように努力する事になります。

結論ですが、あなたに料理の腕か、渉外力か、十分なお金があれば、上記のようにして事業計画を練って下さい。もし1つも無い場合には、 潔く日本へ帰るか、日本食レストランをやるお金を銀行へ貯金して、そのお金が無くなるまでの数年間を、地味にスローライフしながら最後の中国生活を楽しむ事を強くお勧めします。

注意:この記事の相談内容はフィクションであり、相談者も実在しません。

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