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ERPシステム導入が難しい理由(1)縦割り組織の弊害【修正版】

中国のある資料によると、当初の予算・納期・期待値などにフィットするかたちで、ERPシステムの導入に成功している会社は、全体の10−20%、予算超過・納期遅延・部分的な使用など妥協的に使用している会社は全体の30%、そして残りの50%は導入途中・導入終了後にギブアップして使用できなかった完全な失敗ケースだそうです。この資料で注目すべきは、外資および中資で規模の大きな会社が、ERPシステムの導入に成功し易い傾向があるとの指摘です。

それでは、中小企業でERPシステム導入が成功し難い理由はどこにあるのでしょうか。これから何回かに分けて、私の知識と経験をもとに、その理由と対策について考えてみたいと思います。第一回は、ERPシステムの有無と日常業務との関係についてです。

まずは下記の図を御覧ください。工場の各部門で作成される情報で、受注・発注・在庫など会計に関係する情報の流れを示しました。(内販工場をイメージしたので、通関部門は省きました。)

冗談と笑われるかもしれませんが、工場の受発注や生産管理でキーとなる経営要素のデータは、各部門毎に独立したエクセル表として管理されており、隣接する他部門との間での情報共有が行われていませんし、共有しようという努力も無い会社がほとんどです。

上の図では、各部門の情報は最後に会計部門へ渡されます。会計は月次の財務報告書を翌月5日から15日までに税務署へ提出する義務を負っている為に、締め日を厳密に守る必要があります。ところが営業・購買・生産管理などは、締め日以降に発見した過不足や間違いを、先月レポートに遡って更新してしまうので、各部門と会計とのデータで辻褄が合わなくなります。

もしも全社的なシステムを導入していなければ、あなたの会社も十中八九、このような状況になっているでしょう。この事自体が問題である事は別として、このような状況がERPシステムの導入を難しくしている理由は何故でしょうか。

結論を先に述べると、部門間で辻褄があわなくても良い業務のやり方を現場に残したままだと、部門間で相互に辻褄が合っている事が絶対条件のERPシステムの導入で問題が生じるのは当然と言えます。

下記の図は、ERPシステムを導入した場合のデータの入力と処理の流れを単純化しものです。四角い箱の中が、業務の為のデータ入力や処理を表し、担当する部門を箱の上に表示しました。

大きく3つに分けた工場の主要業務のフローについて、上流部門で入力したデータが、下流方向にある各部門で追加の入力や処理を行いながら流れて行く事が分かります。この場合、ある部門の入力と更新の精度とタイミングは、そこから後ろ側の部門の入力や処理に直接的に影響します。上流の部門で必要なデータが適切なタイミングで入力されなければ、下流の部門ではそれに関連したデータ入力が行えません。

ERPシステム導入前は、各部門が作成する管理レポートのデータ精度やタイミングは、部門内の都合で行えば良かったので、辻褄をあわせるのは容易でした。ところがERP導入の為には、部門毎というよりは、会社全体がERPシステムの都合に合わせて連携する必要があります。データ処理のタイミングが重要ですし、入力精度は最終的に会計レポートのレベルが要求されます。(各部門の入力データが会計処理へ直につながるからです。)その為には、部門別の縦割りオペレーションを改め、会計と生産管理部門(あるいは管理部門)が中心となって、業務の流れ、タイミング、データの精度を仕切って行く必要が生じます。

外資や中資の大企業でERP導入の成功率が高い理由は、もともと月次の財務報告書を、高い信頼性かつ効率的に作成する必要性から、各部門の管理レポートを会計部門へ連携させる事を必然的に行なっていたからではないでしょうか。

では、中小企業ではどうしたら良いでしょうか。答えは簡単です。(しかし実践するのはなかなか難しい。)あなたの会社の管理レポートを部門ごとに独立して作成するのを止めます。そして、上図の業務の流れに添って、データが部門間で相互に関連するようにします。具体的には、部門間で行われる作業はすべて指示書を作成して行い、書類を介してデータが部門間で強制的に連携するようにします。つまり、部門間の連携作業では、あえて「阿吽の呼吸」や「以心伝心」的な作業を排します。また、各部門の実務責任者が定期的に集まって、受注・発注・出入庫・入出荷に関する情報共有を行うようにします。そして最後は、上図を例にすれば、流れの最初から最後までを串刺しできる書類の管理番号を導入する事です。

1)受注から売掛計上まで
品番別・納期別に管理できる受注番号で、受注から売掛計上までの各部門の伝票を串刺しできるようにする。
2)購買から買掛計上まで
品番別・納期別に管理できる発注番号で、発注から買掛計上までの各部門の伝票を串刺しできるようにする。
3)生産指示から入庫まで
品番別・生産日別(要するに生産ロット別)に管理できる生産指示番号(製造ロット番号)で、生産指示から製品入庫までの各部門の伝票を串刺しできるようにする。

これらを現場へ導入できるように努力する事で、ERPシステム導入に必要な社内環境を改善してゆく事ができます。

*文章が読みにくいので、内容を少し整理して書き直しました。(6月6日)

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