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中国ビジネス

中国ビジネス相談室(5)中国で工場を設立する方法を教えてください

【相談者】東北地方のある県で、自動車部品の工場を経営しています。震災の影響で安定した生産が難しくなり、お客様から中国への工場移転を勧められました。製造技術には自信が有るし、中国人の若い社員(研修員)が助けてくれると言っているので、生産ラインを中国へ移す事はそれほど不安はありません。それより何より、工場の設立から軌道に乗せるまでの人材が社内におりません。海外素人の経営者が、スムーズに中国進出する方法を教えてください。

【回答】客先から海外移転を勧められたという事は、納品先の工場も中国へ移転する(現地での商売自体は心配無い)という前提で考えて見ます。私が知る限り、日本の中小企業が中国へ工場進出する一般的な方法は大きく分けて下記の2つです。

1)現地企業を斡旋してもらい合弁で工場設立する。
2)自力で工場設立する。

まず合弁について考えます。合弁で始めるメリットは、工場の建屋を借りたり、ワーカーを集めてもらったり、総経理・会計・総務などの主要事務スタッフを合弁先企業から借りたりできる事かと思います。合弁先企業は、地元政府の「お偉いさん」から斡旋される事が多い(密接な関係を持っている)ので、会社登記や、製造機械の輸入手続きなど、地方政府との交渉も彼らなら得意でしょう。逆に合弁のデメリットは、合弁相手の能力・相性・長期的な信頼性など、合弁してみなければわからない部分が多いので、それは大きな賭け(リスク)となります。現実問題として、正しい合弁相手を見分ける事は、海外素人の経営者にはかなり難しいと言えます。

もう一つ、正しい合弁相手とめぐり合った場合でも、合弁事業を長期的に安定させる為に重要な事があります。現地企業が御社と合弁する最大の目的は、彼らの利益を増大させる事ですから、双方の利益がバランスする事が重要です。合弁を通して相手企業の利益増大にどれくらい貢献できるのか、具体的に数値化して考える必要があります。技術や市場を通じた利益増大に貢献できない場合、あなたが思いもよらない方法で利益回収しようとする事が予想されます。そうなれば、あなたは裏切られたと勘違いする事になり、お互いに不幸な結果となるでしょう。

次に、自力での工場設立について考えます。多くの日系企業は、日本から馬力はあるが未経験の社員を連れてきて、力技で工場を立ち上げているようですが、そもそも経営の知識や経験の少ない管理職技術者を、総経理(社長)など要職にすえる事は問題が多いと考えます。

「餅は餅屋へ」という言葉がありますが、会社の立ち上げから工場を軌道へ乗せるまでの初代の総経理(現地社長)は、会社経営の知識と経験がある現地人のプロフェッショナルを、相当額の給与を支払って雇うべきです。そのような人物は、大手の監査法人などへお金を払えば探してもらう事ができます。初代総経理の任期は3年間(場所探しから会社登記完了まで1年間、工場建屋の用意から試作開始できるまで1年間、本番稼動開始して落ち着くまで1年間)ちなみに製造責任者は日本本社から送り込みます。

現地で雇用した総経理に、いきなり大きな金額の決裁権を与えるのはリスクが大きいですので、日本本社から財務責任者を現地へ送り込み、大きな金額の決済の権限を総経理から分離させる事で財務的なリスクヘッジをします。

本番稼動が安定した後の総経理は、ゼロから工場設立する場合ほどの知識や能力は不要です。二期目以降の総経理は、安定した工場オペレーションを維持できる程度のレベルへ、人件費を下げる事を検討します。中国のビジネススクールで経営の勉強した人や、大学院で生産管理の勉強をした人たちの中から面接して一人か二人を選び、二期目以降の総経理の候補とするように準備をします。

財務責任者も、二期目か三期目(1期3年間と計算)には現地雇用者の中で信頼できる人物を選んで、権限を現地責任者へ委譲するようにします。その中で、総経理と財務責任者と、日本人製造責任者(副総経理)の3人が、権限を分け合いながら、相互に監視し合うような体制を構築する事で、中国現地での内部的な信頼性の維持に努めるようにすれば良いのではないかと考えます。

注意:この記事の相談内容はフィクションであり、相談者も実在しません。

<弊社の宣伝>
弊社は工場における生産管理の改善、財務や通関の見える化などのコンサルを併用したシステム導入を得意としたIT企業ですが、東莞地区への工場設立に関する用地の確保、政府との交渉、会社設立、コアスタッフの雇用、試作開始までのトータルな支援も可能です。広東省東莞市へ工場移転を検討されている方があれば、私までお問合せください。

1 comment - What do you think?  Posted by bobby - 2011/07/21 at 11:10

Categories: 中国ビジネス   Tags:

中国ビジネス相談室(3)香港企業が中国人スタッフの給与支払い

【相談者】弊社は日本でネット広告を行っています。香港に会社設立して、中国本土から広告費を回収する事ができますか。また、香港の会社が内地でスタッフを直接雇用して、広告関連の作業を行なわせる場合、給料を支払う方法を教えてください。

【回答】中国内のネット広告についてまず述べます。
ネット関連業務は規制業種であるので、100%独資の外資企業が中国内でネット関連業務の営業許可を得る事は、現状ではなかなか難しいようです。ネットではなく印刷による広告も、出版業が規制業種である為に同様に営業許可を得るのは難しいと考えます。(いづれも不可能ではないが、合弁が必要だったり、大きな資本金を要求されたり、中小企業には困難な条件が多い)ゆえに香港に会社設立して、広告情報を提供するサーバーも香港に置けば、少なくとも中国内地の行政が直接的に取り締まりの対象にする事はできません。中国内に置かれた個人ブログなどのウェブサイトにjavascriptなどを埋め込んで、香港の広告サーバーから広告情報を引き出すようにすれば、内地のウェブサイトに広告を出力する事も技術的に可能です。広告サーバーを日本ではなく香港に置くメリットは、広州のゲートウェイから直に中国内地へアクセスできるので、広告対象地域が華南エリアである場合には比較的高速なデータ転送速度が期待できます。ところでウェブ広告の主体が外国にある事が中国政府にバレると、香港にある広告サーバーのIPアドレスをブロックして、広告情報を遮断する事もまた技術的に可能です。より多くの人目に触れなければならない広告という業種で、このようなスキームを展開する事は、ネット業務が規制業種から外されない限り、中長期的にはデメリットの方が大きいのではないかと考えます。

次に、中国内で得た広告収入を香港へ送金する「やり方」について述べます。
そもそも中国内地に法人を設立する前提がないと、広告収入を受取る母体もありません。自分で設立しない場合は、内地の現地法人に広告収入の受け取りを「委託」する事も可能です。但し、その現地法人が広告業務の営業許可がないと、そもそも広告収入の集金が認められず、よって広告収入として海外送金が認められないという事が考えられます。抜け道としては、たとえばネット広告を「計算機技術のコンサルテーション」という名目にして、香港の会社と内地の現地法人の間で、アウトソース契約を結んで、回収したお金を香港へ送金する方法が考えられます。IT関連企業の現地法人に「技術コンサルテーション」を営業許可証に加えてもらい、香港企業が技術支援サービスを中国内地へ販売した事にして、その代金回収と香港への送金を内地の企業が行います。この方法は、内地の企業が中国の税務署へうまく説明できれば、表面的には合法な契約として認めてもらう事ができ、海外送金も可能です。しかしながら大きなリスクが残っています。内地の公安警察によるネット取り締まりによって、このネット広告が中国内企業によるものでない事がバレた時には、芋づる式に現地法人が見つかり、現地法人の責任者は「違法な営業」により逮捕され、更に会社は過去に遡っておおきな罰金を受けるという可能性があります。

最後に、内地スタッフ給与の支払い方について述べます。
香港の会社が中国内地に会社を設立せず、内地に事務所だけを借りて従業員を雇用できるか、という事についてです。これは以前には多くの香港の会社が行っていました。内地での会社設立に大きな資本金を要求されたので、中小企業にとっては、わざわざ内地の会社設立するのは割りに合わなかった為です。現在では資本金はかなり低くなりましたので、このような方法は以前にくらべると大分減ったのではないと考えます。具体的なやり方ですが、香港の銀行で人民元を調達し、現金をハンドキャリーで羅湖の口岸(国境)を越えて内地へ持ち込む人が多いようです。毎月の家賃や内地スタッフの給料などで、毎月の経費は1万元を越える事が予想されます。これを一度に持ち込むと「違法」になり、みつかると現金は没収されて、更に罰金を科される可能性があります。この部分の法的リスクを減らすには、香港の銀行のATMカードを使って、内地のATMで人民元を引き出します。手数料は3000元あたり30香港ドル前後なので、回数が増えると無視できませんが、国境で現金を没収されるリスクを考えれば割り合うと思います。ちなみに現金で給料を支払うと、受取ったスタッフが自分で個人所得税や社会保障(年金積み立て)などを政府へ支払う事が困難になります。ゆえに現金払いを前提としてスタッフを雇用する場合、長期雇用を前提として優秀なスタッフを雇う事は難しいかもしれません。

上記の3つの内容は、どれもブラックな手段で、中長期的には「罰金」の可能性が高いですので、「やらない方が良い」というのが私の結論です。

注意:この記事の相談内容はフィクションであり、相談者も実在しません。

Be the first to comment - What do you think?  Posted by bobby - 2011/07/12 at 15:32

Categories: ビジネスリスク, 業務システム   Tags:

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