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Articles from March 2010



会計部と製造部に最適な製造原価の作成方法

中小の製造メーカーでは、製造部と会計部で別々に製造原価を作成しているところが多く見受けられます。ひとつの会社の中に、別々の製造原価がある事で、 会計部では毎月10日前後には税務署へ提出する財務帳表を作成する為に、製造原価の作成に必要な情報をいつまでも待っていられないという時間的制約があります。また、税務署へ一旦提出して、そのあとで度々訂正すると税務署から怒られますので、提出後の修正情報は受入れられません。更に財務帳表は前月と当月と来月の数字がかならず、辻褄が合っていなければなりませんので、過去月の在庫金額が変動したりするような事態も困ります。そのような理由で、多くの会計担当者は、製造部や人事部から贈られた情報を会計部門で固定し、それをもとに会計部内で独自に製造原価を作成したがる傾向があるようです。工場の会計担当者が製造原価を算出する場合の、代表的な計算方法の一例を下記に示します。会計部から見た製造原価は、財務諸表を作成する為のパラメタの一部です。 製造部門では、別の思惑があります。会計部門から見ると、製造原価は財務諸表の各パートと金額の辻褄があっていなければなりません。しかし製造現場における製造原価は、製造作業のパフォーマンスインデックスですから、「余計な変動項目」はなるべく無視したいと考える傾向があります。たとえば購買単価の変動、為替変動、人件費や家賃の変動などは、製造現場の作業効率や良品製造能力とあまり関係がありません。製造部の管理者から見た製造原価の「積み上げ」方法の一例を下記に示します。製造費の実際値は、主に不良による消費量の増減を示します。人件費や製造費の中で、製造作業と直接に関係ない部分は、理論値で固定して考えている事がわかります。製造部が非常に強い会社では、この製造原価を会計部で使わせている事があります。しかし、これを会計部で販売原価の算出に使うと、月次の経費との辻褄が合いませんので、損益の数字に誤差が生じて、経営の舵取りミスにつながる事があります。 このように、会計部と製造部は、それぞれの部署に要求される目的の違いから、製造原価に対する考え方が異なる事がわかります。要するに部門の違いから来る価値観の差です。しかし、販売原価のモトになる製造原価の算出方法を、製造でも使い易いような「積み上げ」式で実現する方法もあります。下記の図でそれを示します。 また、製品別当月実際材料費の算出方法ですが、「最も単純に製品別・製造原価を集計する方法」で示しましたように、当月製品入庫単に紐付く生産指示番号に関連する部材の領料単と退料単を集計する事で簡単に実現できます。下記はそのイメージ図です。 結論です。当月に販売した製品数量に、当月の「積み上げ」式製造原価を掛けて、販売原価を算出できるようにすれば、会計と製造のどちらの目的にも適用可能なソリューションになります。 上記の「積み上げ要素」である製造原価の各項目について、標準原価値を当てはめると、製造ラインのパフォーマンスがわかりますので、製造で必要な製造原価となります。「積み上げ値」を当月実際経費に基づく数値を当てはめると、会計に必要な製造原価となります。 最後になりますが、これをエクセル等で人間が毎月算出するのはかなり大変です。ゆえに、上記のやり方は生産管理システムを用いて行う事をお薦めします。

最も単純に製品別・製造原価を集計する方法

精度の高い製造原価の算出は、生産管理を行っている管理者だけでなく、会計担当者にとっても重要です。ひいては、月次の財務報告書を経営の指標とする経営者にとっても極めて重要です。ここでは、製造や生産管理部門と会計部門が協力する事で、非常に単純な方法で、精度の高い製造原価を算出する方法を紹介します。 中国の工場では、下の図にある領料単という伝票を用いて、生産に使用する直接材料を倉庫から製造ラインへ払い出しを行うようになっています。一般的に領料単は、生産計画を作成する部門により、生産指示書(生産指示番号)と連動して作成します。承認された領料単は、生産計画に基づく直接材料の出庫指示を兼ねます。税務局や通関局の工場監査の際には、出荷された製品の生産時の証拠書類として、領料単の開示を求められる事もある重要な伝票です。 この図にある量料単は単純化された一例であり、生産計画に基づく生産数量の製品を製造する為に必要な材料について、部材番号・部材名・出庫数量が記された伝票です。伝票中の用語はあえて日本的な用語を用いる事でこの記事を読む方へわかりやすくしてあります。 もう一つ、領料単とペアになる退料単があります。これは、領料単で製造ラインへ出庫された部材について、対象とする生産計画の終了か、あるいは実地棚卸の為に製造ラインにある部材を倉庫へ戻す時に退料単を用います。伝票のフォーマットは下図に示したように、基本的に領料単とほぼ同じです。 領料単と退料単は、生産に必要な部材の数量計算を手計算(エクセルを含む)で行う小規模な組織の工場では、製品別や製造日別になっていない場合がよく見受けられます。1日に製造する複数の部材をまとめて1つの領料単に記載するケースと、1つの製品の複数製造日の部材をまとめて記載するケースが多いのではないでしょうか。 ここで、生産指示書を製品別日別(ひとつの製品の1日分の製造)に分解して作成し、領料単と退料単も(製品別日別の)生産指示番号に連動して作成・管理するようにする事で、製品別の製造原価が比較的容易に集計可能になります。下記図を参照ください。 ここでのポイントは完成品入庫単です。完成品入庫単を、生産指示番号に紐付くようにします。すると、月初から月末までの良品と不良品の入庫単を製品別に串刺しして、その入庫単に紐付く領料単(プラス)と退料単(マイナス)を部材別に集計すれば、月間に入庫された製品の製造目的で消費された直接材料数量が算出できます。この消費材料数量に、当月末の月間購買単価(月間総平均単価法を推奨)を掛ければ、直接材料消費金額を製品別に算出できます。 この情報を会計部に渡せば、人件費と製造費を所定の数式で製品別に按分して、製品別の月間製造原価が算出できます。この製造原価は、製造原価の70-80%を占めると思われる直接材料金額を、入庫された製品に消費された部材の分だけ計算しているので、途中の計算情報に間違いや誤差が無い限り、単純かつ精度の高い製造原価と言えます。 製造する製品数が多く、製品別・日別で領料単・退料単の作成・管理が困難な場合には、生産管理を支援するコンピュータ・システムを導入を導入する事で、上記の実現が比較的容易になります。