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Articles from May 2011



中国ビジネス相談室(2)人民元外注費を香港で払いたい

【相談者】弊社は東莞で、電子部品の組み立て工場(独資形態の進料加工工場)を経営しています。東莞へ工場進出したのは、中国ワーカーの低い賃金が理由でした。ところが最近、工場ワーカーの最低賃金がどんどん上昇して人件費がかさみ、利益が圧迫されて工場経営が難しくなっています。ところで中国人が経営する個人企業のような零細工場では、最低賃金やその他の労働法を遵守せず、かなり低い人件費で生産していると聞いています。そこで弊社の加工工程の一部を、そのような中国人経営の零細工場へ外注する事で、製造原価を下げる事を検討しています。見積もりを取ったある中国人工場の経営者から、彼が香港に持っている会社へ香港ドルで支払えば、中国内で発票(税務署が発行する領収書)を発行しなくても良いので、更に安くすると言われました。非常に魅力的なオファーなのですが、このような事は可能でしょうか? 【回答】中国の法律を守らないという前提に立てば、このような外注工場を使い、香港で支払う事は、短期的には実現可能と思われますが、中長期的には中国の通関当局に発覚して高額の罰金を科せられる可能性が高いので止めるべきと考えます。では、どんな問題があるかを見てみましょう。 1)保税管理の問題 御社の東莞工場は材料を保税で輸入して加工する事を通関当局から許可されています。しかしながらB社は現地の零細工場なので、そのような許可は当然の事ながら受けていないものと考えます。故に、保税管理の対象である御社の半製品をB社へ移動する事は、通関ルールに違反するものと考えます。 2)みえない材料の問題 B社が自分で調達した材料を、御社の半製品に追加すると、通関当局から「見えない」材料が御社の製品に付加される事になります。そのような「みえない材料」が、保税対象である製品に付加される事は、通関ルールに違反すると考えます。 3)脱税の問題 中国内で行うB社への外注作業(役務)の対価を、B社の中国工場をスキップして香港で支払う事は、税務ルールに違反すると考えます。 注意:この記事の相談内容はフィクションであり、相談者も実在しません。

中国ビジネス相談室(1)前金を外貨で、残金を人民元で支払いたい

【相談者】弊社は日本の商社です。上海の地元メーカーに携帯型のMP3プレーヤーを作らせて、それを北米へ輸出しています。製品は弊社で企画・開発を行い、中国メーカーは材料を自分で調達しています。メーカーが海外から輸入する材料は、免税手帳を使って保税で輸入します。このメーカーとは5年間の取引実績があり、これまでは特に大きな問題はありませんでした。ところが今回の注文の前金を払った後で、残金も先に払ってもらわないと材料の調達が出来ないと言われました。 驚いて担当者を工場へ派遣したところ、数ヶ月前から財務的なトラブルに見舞われている事が分かりました。前金を返すように要求しましたが、すでに材料調達に使ってしまったので、現金で返すことはできないとの返事です。弊社ではこのメーカーの経営陣に大きな不信感を持ちましたので、今回の注文の製品を作った後で取引中止したいのですが、残金をこのメーカーへ前払いする気になれません。そこで、弊社と10年以上の取引関係のある上海の別の現地商社に仲介してもらい、リスクヘッジしたいと考えています。上海の商社に相談したところ、前向きの返事を得ています。そこで相談ですが、下記の2案のどちらかで対応する事は可能でしょうか。 弊社から上海の商社へ残りの材料費をUSDで支払い、この商社からメーカーへ人民元で材料費の残金を支払う。製品輸出後、当初の契約額から前金と材料費を差し引いた最終的な残金をUSDでメーカーへ支払う。 弊社から上海の商社へ残りの材料費をUSDで支払い、この商社が残りの材料を調達してメーカーへ材料支給する。製品輸出後、当初の契約額から前金と材料費を差し引いた最終的な残金を上海の商社経由で人民元でメーカーへ支払う。 【回答】 このメーカーは免税手帳を使って材料を保税で調達しています。この場合、製品出荷時にメーカーが御社から受取るべき残金は、本来の金額を外貨で、通関当局がモニタするメーカーの「外貨送金用の銀行口座」に入金されなければなりません。ところが上記の案1も案2も、メーカーが製品輸出した後で、所定の残金を御社から外貨で受取る事ができないものと推測します。 製品を輸出したのに、所定の金額を外貨送金用の口座へ入金しないと、保税輸入した材料の金額と、輸出した製品の金額がバランスしなくなります。するとメーカーは通関当局から取り調べを受けて、最終的に罰金を受ける事になります。故に御社は、上記の案1あるいは案2で対応する事はできません。 もう一つ、留意すべき点があります。案2の、材料の無償支給を受けて製造し、加工賃を得る事は「委託加工」と呼ばれています。メーカーがこれを行うには、別途に委託加工の営業許可を受ける必要があります。予め委託加工の営業許可を受けずにこれを行うと、営業範囲を逸脱した違反で罰金の対象となりますので注意が必要です。 注意:この記事の相談内容はフィクションであり、相談者も実在しません。