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Articles from September 2014



生産管理システムの設計(6)実際のシステム

これまで概念的な話しをしてきました。最後に、実際のシステムにおいては、各機能の画面はどのようになるのかについて見てみましょう。(下記の画面はマウスでダブルクリックすると少し大きくなりますが、ブログへアップする時の画面サイズの関係で、画面の右端が切れてしまいました。) 1)制令画面(生産指示) 生産管理課から製造へ、生産計画に基づく生産の発注(生産指示)を行う画面です。この画面で入力した生産指示番号が、途中の工程を経て、完成品として倉庫へ入庫するまで、すべての画面で必要になってきます。これは、システム的な一貫性を保ち、データの追跡を容易にしますが、製造現場で使用する現品票に付与できる工場は多くありません。従って、システム導入時および運用においては、生産管理課と製造課の認識のギャップを生み出す元になる事が多いと思われます。 下記は制令の入力画面です。   2)領料画面(材料払出し) 制令画面で作成した生産指示番号に基いて、倉庫から製造へ材料を払い出す為の画面です。生産管理課と製造課の認識のすり合わせを容易にする為に、生産指示番号を1日単位ではなく、1週間とか1ヶ月単位にまるめて運用する場合には、生産指示数量が大きな数字なりますが、領料(材料の払出し)は可能な限り分割して少ないロット(できれば1日単位)で行えるようにするべきであると考えます。故に、システム上でも、分割領料が可能になるようにします。 下記は入力画面です。分割領料については上記で述べましたが、総生産指示数量に対して、現在までの領料数量の累計と残りの数量が画面上で容易に見えるようにする事は、現場の運用を容易にします。   3)在制品投料画面(工程間の仕掛品の移動) 工程の出口から次の工程の入口へ半製品の移動を行う画面です。領料画面の次にこの処理を行う場合は、これ以前に工程がありませんので、最初の工程の入口へ仕掛り品を計上するだけとなります。2番目の工程以降については、前の工程の出口にある仕掛品を、次の工程の入口へ移動させる処理となります。下記では入力画面がありませんが、実際の入力は、ポップアップ画面を表示して、生産指示番号別にリスト表示されている仕掛品(数量)を選択して、保存するだけで、次の工程へ自動的に移動します。   4)生産日報画面(工程の入口から出口へ半製品の移動) 1日の製造の結果を入力する画面です。システムで設定された工程の入口から出口へ仕掛品を移動させる処理を行います。 下記は入力画面です。生産指示番号の他に、工程名、良品数量などを入力します。   5)完工品入庫(完成品入庫) 製造が完了して品質検査が終わった後で、倉庫への完成品の入庫計上の処理を行います。 下記は入力画面です。この画面で生産指示番号、品番、入庫数量などを入力します。   6)BOM(部材構成表) BOM(ボム)とは完成品を製造する為に必要なすべての部材等が含まれている構成表です。このシステムではマルチ階層に対応しており、工程の定義もBOMで行います。この画面に生産指示番号、品番、入庫数量などを入力します。領料(材料の払出し)の理論数量をシステムが計算するのにも必要となります。   実際の生産管理のシステムでは、上記の他に領料の反対の退領画面や、在庫調整、月末棚卸し画面などが必要となりますが、今回は割愛します。 以上、6回に渡り、基本的な生産管理システムの設計について考察しました。私の考えをまとめる事が目的の記事ですが、これから生産管理システムを設計しようとしている方、あるいは既存のシステムを改善しようとしている方の参考になれば幸いです。 これまで述べてきた内容の中で、なにか間違いありましたらコメント欄で結構ですのでご指摘下さい。 以上

生産管理システムの設計(5)生産管理と製造のギャップ

生産管理を規律正しく行うと考えれば、1ヶ月を1日単位に分解した生産計画について、1日単位で生産指示(製造への発注書)を発行し、個々の生産指示番号で、製造の各工程を追跡できる事が望ましいと考えられます。こうすれば、生産指示から完成品入庫まで、すべての工程が生産指示番号によって追跡可能(トレーサビリティーの向上)となります。 しかしながら、製造課では、1日の製造数量は生産管理課から来る生産指示に基いて決めているけれども、いま製造している「これ」がどの生産指示番号に紐付いているのかについては把握していない(できない)工場が非常に多いようです。なぜこのような事が起きるのかについて、下記の2つの図を御覧ください。 ある客先からの注文の製造を行う為に、生産管理課では上記のように3日間の生産計画をつくり、それぞれの日に製造する予定の数量について生産指示1・2・3という番号を振って、それを製造課へ送りました。この製造ラインでは、通常の業務時間にて、1日に1000個を製造する事ができるものとします。 製造課では、1日目は良品900個と不良100個、2日目に良品900個と不良100個、3日目に良品1000個と不良0個の製造を行いました。 理屈の上では、それぞれの日の製造数量と生産指示番号を紐つける事ができますが、製造が作成する生産日報には生産指示番号が無いので、システム画面の前で担当者が考えこむ事になってしまいます。 全部の製造が終了して、生産日報が製造課の事務所へ上がってきました。そこでシステムへ入力しようとした時に、入力担当者は上記図のような状況に直面します。システム上は、3つの生産指示番号に注残がありますが、3日分の生産日報の良品数量とは一致しません。 賢い担当者なら、生産日報を古い日付順に並べて、上から順番に良品の数量をシステムの生産指示番号へ引当て行けば問題ありません。しかし、このような伝票が1日に何十枚も来て、入力する機種が何十もあるとすれば、大変面倒です。現場の規律が比較的弱い工場では、このような面倒な伝票入力を毎日毎日、担当者へ間違い無く行わせる事はなかなか困難です。 このような状況がある場合、「規律」と「現実」のバランスをある程度とりながらシステム上の入力問題を解決する「妥協案」として、下記のような方法が考えられます。   上記の図で示したように、いままで1日単位に分割していた生産指示を、1つにまとめてしまう方法です。こうすると、生産管理課の認識(生産指示数量)と製造課の認識(製造数量)のすり合わせが容易になります。その結果、下記の図のように、システム入力時に、生産指示と製造数との引き当ても容易になります。 しかし、上記のような運用を行う為には、システム的に注意するべき事があります。下記のシステム構成図をもう一度良く見て下さい。 システム的には、生産指示数量と領料(倉庫から材料の引き落とし)数量が一致している事が前提となっています。ここで、3日分の生産指示を1つにまとめるだけであれば、大きな問題はありません。しかし、まとめる期間が1週間とか1ヶ月になった場合、製造の初日で全部の材料の払出しをシステム的に行ってしまう事になります。こうなると、材料が倉庫に無い場合もありますし、月末の棚卸し時の誤差も大きくなります。 もし生産指示数量を一定期間まとめる事を前提としている場合には、領料画面で、材料を1日単位で分割領料(払出し)出来るような機能的な工夫が必要になるかと思われます。 次回は、これまで述べて来た内容について、弊社のシステムを例に実際の画面について見てみましょう。