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生産合同(免税手帳)の正体(5) 理論在庫の計算方法

通関は生産合同番号で輸入材料と出荷製品を紐付けて、企業側がもっている保税材料の理論在庫を算出していると述べましたが、その具体的な方法を簡単化して説明します。 上記は、ある生産合同書の中に製品が1つだけ登録されているとして、それを利用した生産を行うに際して、材料を1回で輸入し、2回の出荷で終了すると仮定した場合について、輸入材料と出荷数量、そして理論在庫を算出するシミュレーションです。 生産合同書2010/01010の契約数量は10000個。この合同番号の製品に紐付くBOMの内容は、材料A、材料B、材料Cの3つをそれぞれ1個ずつ使用し、損耗率は(計算を簡単にする為に)ゼロとします。 1)最初に材料A/B/Cをそれぞれ1万個ずつ輸入します。輸入時に、企業は通関へ申告して海関入口報告単という書類を作成し、合同番号2010/01010および材料名と数量を明記する事で、通関は材料名と数量と合同番号との関連を認識します。 2)1回目の出荷で、製品4000個を輸出します。輸出時に、企業は通関へ申告して海関出口報告単という書類を作成し、合同番号2010/01010および製品名(生産合同に登録された品名)と数量を明記する事で、通関は消費された材料名と数量と合同番号との関連を認識します。この出荷により、材料A/B/Cはそれぞれ4000個が消費され、理論在庫はそれぞれ6000個になりました。また、この生産合同の製品の出荷可能残数は6000個になりました。 3)2回目の出荷で、製品6000個を輸出します。輸出時に、企業は通関へ申告して海関出口報告単という書類を作成し、合同番号2010/01010および製品名(生産合同に登録された品名)と数量を明記する事で、通関は消費された材料名と数量と合同番号との関連を認識します。この出荷により、材料A/B/Cはそれぞれ5000個が消費され、理論在庫はそれぞれ1000個になりました。また、この生産合同の製品の出荷可能残数は残り1000個になりました。 上記の注意点として、材料A/B/Cは社内で普通に見る在庫表の社内品番とは異なります。(なぜ社内品番と違うかについて、詳細はこちらを参照ください) 月末棚卸し時に、通関の理論在庫と社内の在庫の比較を行うには、社内品番ベースの在庫表を、生産合同の品名別に集約する必要があります。この変換表は、御社の通関部門で管理していますので、一度は手にとって確認されては如何でしょうか。

生産合同(免税手帳)の正体(4) 不良品の処分方法

生産合同には最大で24ヶ月の契約期間があり、失効した合同番号に紐付いた保税在庫が残っている場合には罰金があると述べました。材料や製品など会計上の帳簿に記載されている資産価値を有する在庫の場合には、長期で在庫を持つ事は少なく、また経営側も管理の目が届きやすいようです。ところが、財務帳票や通常の在庫レポートから見え難い「落とし穴」があるので注意が必要です。 生産合同に登録した各1製品とペアにあるBOM(部材一覧表)には、所要数量と生産時の損耗率が記載されています。ところで通関が認める損耗率とは、正常な生産時に生まれる材料のロスを意味しており、出荷できない半製品や製品の不良品は含まれて居ません。不良品は常時発生しますし、時には大量に発生します。修理(あるいは再利用)できない不良品は廃棄するしかないのですが、しかしこれも通関局から見ると立派な「保税材料在庫」なのです。 製造で発生する不良品を上記のような正規の手続きを経ずに処分すると、通関の理論在庫と工場の実際在庫の差異がどんどん広がってゆきますので、工場管理者は十分な注意が必要です。