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情報共有で経営リスク管理

中国華南で転廠が生み出す経営リスクについて、数回に渡り説明を行ってきました。しかし工場を経営する総経理・副総経理・工場長が、中国の通関や財務の知識を自ら深め、担当者の間違いや不正行為を是正する事は簡単ではありません。どのようにしたら、このような経営リスクを低減させる事ができるでしょうか。 その方法として私は、通関と財務に関連した情報について、社内の各部門が定期的に会議を開き、情報を共有する事を勧めています。 税務申告に必要な販売・購買・在庫の情報と、通関申請に必要な出荷・入荷・材料消費・単価・保税在庫・送金額等の情報は、かなり広範囲な情報を積み上げて作成します。ここで、通関が「情報共有会議」に提出した情報が、社内の各部門が持っている明細情報の集計値と「辻褄が合う」事で、財務と通関が公開した情報に客観性が生まれます。 また、各部門が情報公開して部門間で情報マッチング作業を行う事は、個々の部門の責任者にとって大きな「プレッシャー」となり、情報の隠蔽が困難になり、結果として不正行為を抑止する効果が生まれます。 もし貴方が経営している工場で、各部門の情報に疑問を感じたり、不正行為の可能性を感じているのであれば、「情報共有会議」を導入される事をお勧めします。

会計部と製造部に最適な製造原価の作成方法

中小の製造メーカーでは、製造部と会計部で別々に製造原価を作成しているところが多く見受けられます。ひとつの会社の中に、別々の製造原価がある事で、 会計部では毎月10日前後には税務署へ提出する財務帳表を作成する為に、製造原価の作成に必要な情報をいつまでも待っていられないという時間的制約があります。また、税務署へ一旦提出して、そのあとで度々訂正すると税務署から怒られますので、提出後の修正情報は受入れられません。更に財務帳表は前月と当月と来月の数字がかならず、辻褄が合っていなければなりませんので、過去月の在庫金額が変動したりするような事態も困ります。そのような理由で、多くの会計担当者は、製造部や人事部から贈られた情報を会計部門で固定し、それをもとに会計部内で独自に製造原価を作成したがる傾向があるようです。工場の会計担当者が製造原価を算出する場合の、代表的な計算方法の一例を下記に示します。会計部から見た製造原価は、財務諸表を作成する為のパラメタの一部です。 製造部門では、別の思惑があります。会計部門から見ると、製造原価は財務諸表の各パートと金額の辻褄があっていなければなりません。しかし製造現場における製造原価は、製造作業のパフォーマンスインデックスですから、「余計な変動項目」はなるべく無視したいと考える傾向があります。たとえば購買単価の変動、為替変動、人件費や家賃の変動などは、製造現場の作業効率や良品製造能力とあまり関係がありません。製造部の管理者から見た製造原価の「積み上げ」方法の一例を下記に示します。製造費の実際値は、主に不良による消費量の増減を示します。人件費や製造費の中で、製造作業と直接に関係ない部分は、理論値で固定して考えている事がわかります。製造部が非常に強い会社では、この製造原価を会計部で使わせている事があります。しかし、これを会計部で販売原価の算出に使うと、月次の経費との辻褄が合いませんので、損益の数字に誤差が生じて、経営の舵取りミスにつながる事があります。 このように、会計部と製造部は、それぞれの部署に要求される目的の違いから、製造原価に対する考え方が異なる事がわかります。要するに部門の違いから来る価値観の差です。しかし、販売原価のモトになる製造原価の算出方法を、製造でも使い易いような「積み上げ」式で実現する方法もあります。下記の図でそれを示します。 また、製品別当月実際材料費の算出方法ですが、「最も単純に製品別・製造原価を集計する方法」で示しましたように、当月製品入庫単に紐付く生産指示番号に関連する部材の領料単と退料単を集計する事で簡単に実現できます。下記はそのイメージ図です。 結論です。当月に販売した製品数量に、当月の「積み上げ」式製造原価を掛けて、販売原価を算出できるようにすれば、会計と製造のどちらの目的にも適用可能なソリューションになります。 上記の「積み上げ要素」である製造原価の各項目について、標準原価値を当てはめると、製造ラインのパフォーマンスがわかりますので、製造で必要な製造原価となります。「積み上げ値」を当月実際経費に基づく数値を当てはめると、会計に必要な製造原価となります。 最後になりますが、これをエクセル等で人間が毎月算出するのはかなり大変です。ゆえに、上記のやり方は生産管理システムを用いて行う事をお薦めします。